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夜明けの風

 

夜明けの風

夜明けの風

 

 侵略者サクソン人との最後の戦いに敗れ、父も兄もうしなったオウェイン。幽霊のようにさまよっていた。死にかけた彼は、ブリトン人の農夫婦によって体は助かるが、生きる意味を失っていた。だが、廃墟でのこじきの少女レジナとの出会いが彼に生の意味を与える。病気になったレジナを守るため、サクソン人の家に助けを求め、自分が奴隷になることで支払いをする。絶望の中で日を送るオウェインだが、時代は動いていた。いつしか生まれたサクソン人の主人との信頼関係。サクソン部族内の戦いの中で、生き残りのブリテイン族は居場所をみつけ、フランク王国との同盟により、キリスト教が復活の兆しを見せる。戦いのあとの融和、誠実に生きることで生まれる希望を語る佳作。原作は「ともしびをかかげて」に続き1981年に刊、イルカの指輪で結ばれたブリテイン連作完結編。