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星の歌を聞きながら

 

星の歌を聞きながら (ハリネズミの本箱)

星の歌を聞きながら (ハリネズミの本箱)

 

 父の死から立ち直れず不良仲間とつるむようになったルーク。すでに2年が経ち、美しい母には求婚者さえ現れているが、それがよけいに彼を追い込む。だが、ルークには父譲りの音楽の才能があった。人並み外れて敏感な耳は絶対音感を持ち、他人には聞こえない音が彼にまとわり着く。不良仲間にそそのかされミセス・リトルの家に忍び込んだ彼が耳にしたのは幼い女の子の泣き声。侵入を秘密にするかわりに、女の子にピアノを聞かせてくれと、老いたミセス・リトルに頼まれる。盲目で、知能も低いが、ピアノに激しく反応する女の子。彼女の存在を隠しとおそうとするリトルの意図は何か?侵入の失敗で、悪仲間に追い詰めらるルーク。様々な謎がたたみかけるように重なり合い一気に満足できる結末に到達する。懸命に道をさがそうとしているルーク。必死で寄り添おうとする母親の姿も切々と描かれていてとてもいい。