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世界一のランナー

 

世界一のランナー (児童図書館・文学の部屋)

世界一のランナー (児童図書館・文学の部屋)

 

 突然おじいちゃんが、大都市アディスアベバまで行くと言い出したため同行することになった11歳のソロモン。初めての大都会に興奮するが、おじいちゃんはなにか考えがあるみたいだ。泊めてもらったおじのようすも微妙に変だ。おじいちゃんは立派なビルを訪ねるが、そこで知らなかったおじいちゃんの過去を初めて知ることになる。おじいちゃんは、昔皇帝の近衛兵で、ハヤブサと呼ばれる俊足だった。もうひとり弾丸と呼ばれた兵と親友同士で、革命後つかまるが、弾丸を助けようとして看守をなぐり逃亡したのだ。たずねたのは、弾丸の息子だった。弾丸は、なくなっていたが、皇帝からもらった名誉のメダルを保管していてじいちゃんにわたそうとしてくれたのだ。おじさんは、そのメダルを横取りしてお金にかえられないかと思っていたのだ。じいちゃんのもとに戻ったメダル。おりからエチオピアのマラソンランナーの優勝パレードがあり、ソロモンは胸躍らせる。だが、旅の無理がたたって、おじいちゃんは倒れ、入院。ソロモンは家に知らせに向かうが、バスが故障し、走って帰ることを決意する。知らなかった祖父の過去や、走ることへのあこがれがいい。弾丸の息子の会社の援助のおかげでランナーとして訓練を受け、有名選手になるラストは、その結末までかかなくても・・とは思うが、希望となる。