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メディチ家の紋章 上

 

メディチ家の紋章<上> (Sunnyside Books)

メディチ家の紋章<上> (Sunnyside Books)

 

 殺されかけ、逃げた男の子は川に飛び込み、滝つぼに落ちながらも生き延びて親切な一行に救われる。それこそレオナルド・ダ・ヴィンチと弟子たちだった。マッテオと偽名を名乗り、一行とともに、ペレラの屋敷で家族とともに穏やかな日を送る。レオナルドはチェーザレ・ボルジアのため仕事をし、彼は容赦なく、反対者に残虐にふるまった。そして、マッテオの追っ手は、彼の痕跡を追ってペレラの屋敷を襲い、親切だった一家を虐殺。生き延びたのは、父親が隠し部屋に隠した長男パオロと、レイプで身も心もズタズタになった双子の姉妹だけ。逃亡中に姉も死に、妹エリザベッタがかろうじて生き延びる。追っ手サンディーノは、かつてマッテオにメディチ家の金印を盗ませた男なのだ。自分のせいだと落ち込むマッテオ。彼は、祖母に倣った知識と、頭の回転のよさで、レオナルドに仕える。アンギリアの戦いの制作と、その失敗。ジョコンダ夫人の肖像の着手。ボルジアやマキャベリとの出会いなど、歴史背景を取り込んで読ませるが、でも、微妙にどうかと思う点も満載! たとえばマッテオの豊富な知識(祖母直伝!)、はともかくとして、ペレラの屋敷がマッテオを探すためのものだったら、殺しまくるか? ふつう拷問だよね~とか。ともあれ上巻を読み終わっても、正体がわからないマッテオ。これからどうなる?