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大草原のちいさなオオカミ

 

大草原のちいさなオオカミ

大草原のちいさなオオカミ

 

 モンゴルで“天”としてあがめられているオオカミ。文化大革命により、モンゴル平原に下放されたチェンジェンは、オオカミに魅せられ、仔狼を飼うことで、狼を理解しようとする。だが、飼い始めた小狼(シャオラン)は、決して慣れず、野生の知性と獰猛さを垣間見せる。手放したくないばかりに、牙を削り、野生に返せなくなった小狼は、最終的には衰弱し、自ら殺すことになる。狼が守る生態系を壊し、砂漠化を招く、愚かな漢人。モンゴルの魂を守ったビリグじいさんの姿が切ない。