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しゅるしゅるぱん

 

しゅるしゅるぱん (福音館創作童話シリーズ)

しゅるしゅるぱん (福音館創作童話シリーズ)

 

おばあちゃんがひいおばあちゃんと暮らしている朱瑠町に引っ越してきた解人。田園風景のかなたに朱瑠山がそびえ、なにか物がなくなると「しゅるしゅるぱん」と唱える風習がある。解人は、さっそくちょっとしたものがなくなり「しゅるしゅるぱん」と言われ、学校初日は、なぜか学校にすんなりとたどり着けない妙な体験をし、おまけに他のだれにも見えない「しゅるしゅるぽん」と名乗る男の子に出会い「おまえキラか?」と話しかけられる。今は、ヒコと呼ばれるひいおばあちゃんの若い時代の淡い恋。おばあちゃんが、子供時代に感じた母の過去への不安、キラとよばれた父アキラの子供時代のおぼれそうになった過去という四代の思い出の断片と、解人が、新しい学校で受け入れられる様子をよくまとめている。でも、それぞれが「しゅるしゅるぱん」と出会っているのにすぐ忘れる、あっさり取り壊される蔵のようすなど、なんとなく物足りないのが残念。