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ペーパーボーイ

 

ペーパーボーイ (STAMP BOOKS)

ペーパーボーイ (STAMP BOOKS)

 

 1959年アメリカはテネシー州メンフィスに住む11歳のぼくは、吃音で悩んでいる。懸命に話し方を学んだり工夫したりしているが、そのために知恵おくれや変人扱いされることも多い。ぼくの最高の友達はマーム。家で働いている黒人女性だが、有能で強く、信仰心が篤い。だが、マームはバスの後ろの席に座らなければならないし、僕と一緒でなければ動物園に入れない。棒は、そんなのは納得がいかない。夏に田舎に行った友人の代わりに引き受けた3週間の新聞配達で、ぼくは社会を垣間見る。ナイフを研いでやるといってぼくから奪ったR.Tとのトラブル。美しいが不幸そうなワージントンさんの奥さん。本だらけの家に住んでいて、対等な人間として独特の話し方でぼくと向き合ってくれたスピロさん。そして偶然に知った、大好きな父さんが、本当の父親ではないという秘密。思春期のちょっと手前の、まじめな男の子の思いと、公民権運動が爆発する手前のアメリカの社会状況の中でのが作者の自伝的な物語。時代のせいかやや古風な印象だが、原書は2014年ニューベリイ賞佳作。