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レイン 雨を抱きしめて

 

レイン: 雨を抱きしめて (Sunnyside Books)

レイン: 雨を抱きしめて (Sunnyside Books)

 

レインは、雨の日にパパが連れてきてくれたローズの犬。ローズは高機能自閉症アスペルガー症候群)で、同音異義語への執着が強い。そして、ルールから外れたことを見ると強いストレスを感じ、受け入れられない。耐えられないと自分で頭をたたいたり、大声をあげたりしてしまう。ママは、ローズが小さいときに出て行ってしまったといい、パパは自分のお父さんが見捨てたように絶対子どもを見捨てないと決意しているが、常識的な行動がとれないローズに対し、イライラすることも多く、ローズは少し怖い。パパとのクッションになってくれているのが、パパの弟で穏やかな ウェルドンおじさんだが、パパは自分ができないことをおじさんがすることに過敏になっている。巨大なハリケーンが来た日、パパは、レインをおしっこにいかせるために外にだしたが、そのままレインは行方不明になってしまった。心の支えのレインを失ったローズは、懸命に探す。だが、やっと探し出したとき、レインは、他の家族の犬として登録されていたことを知る。正しいことをするために、レインの本当の飼い主を探すローズ。そしてパパは仕事を失い荒れてくる。
自分で自分をコントロールできないローズの苦しみ。そうした娘にどう接していいかわからずに悩む父親。ローズを愛しているからおじのところに置き去りにする、というラストは、レインが大好きだから本当の飼い主に返すローズとオーバーラップするように描かれているが、本当にこれでいいか? だが、クラスに友だちができるところは、とてもうれしい。