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テンプル・グランディン 自閉症と生きる

 

テンプル・グランディン―自閉症と生きる

テンプル・グランディン―自閉症と生きる

 

 自閉症のため、幼いころから特に父親に罵倒されてきたテンプル。言葉が遅く、コミュニケーションは苦手。音や肌触りに過敏で、いやなことがあると大声を上げたり、あばれたりした。だが、彼女を理解し、あきらめなかった母親や教師たちのおかげで、徐々に自分をコントロールすることを理解していく。ものごとを絵で頭の中に鮮明に浮かべる、一つのことにこだわり始めるととことんこだわる、などの自閉症の特徴や、モノづくりの才能を生かして、動物好きから、家畜の生活を向上させる仕組みを次々に考え、大きな成果をあげた。本人の同じ自閉症の人へのアドバイスは、具体的で、有用。ほかの人と同列に競うのではなく、自分のできる事を、その価値がわかる技術部門の人に見せてアピールするなどの自分がやってきたノウハウや、ほかの人が自分のような思考ができないことを知り、そんな正常な人間になりたくないと、はっきり思うところがよい。違うことが悪いことではなく新しい可能性につながることがよくわかる。