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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

だれも知らない小さな国

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 追悼 佐藤さとる先生😢

再読したが、初読の時とかわらない清冽な印象を受けた。戦争をはさんで、主人公の失われた子ども時代の再発見をするようなコロボックルとの出会い。最初は言い伝えとして聞き、ひょっとしてと感じ、一度はその姿を見たはずなのに、忘れていたものとの出会い。その普遍性がこの物語の魅力だと思う。そこに、赤い運動靴のおちびさんとの出会いが重なる。ファンタジーは、いかに「リアル」に感じさせるかがポイントだが、子ども時代にこの本に出会うことで、コロボックルを心に抱いて成長できる子は幸せ。自分自身の誰にも侵されることのない「矢じるしの先っぽの小国」世界を手に入れたい。