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白い月の丘で

 

白い月の丘で (カドカワ銀のさじシリーズ)

白い月の丘で (カドカワ銀のさじシリーズ)

 

 強国アインスに滅ぼされた国トールという架空の国を舞台としたファンタジー。とりたて美しいわけではないが、意志が強い笛の名手のマーリィ。幼馴染でトールの王子ハジュンは、密かにシーハン公国へ逃れていたが帰ってきた。そのころマーリィの元に貧乏貴族の息子と称して通ってきていた青年カリオル。だが、実は彼こそアインスの王子った。と、いうわけで、平凡な女の子にイケメン王子二人が心をよせるというありえないだろうの設定だが、意外なのはここでハジュンがお家再興をもくろむ旧軍隊の生き残りと距離を置こうとするところだろう。シーハン公国で民主主義を知り、統治は文官あってのことときちんと理解して、闘って勝っても、その後をどうするかを見据えている王子が、こうしたライトノベルズ系作品にもあらわれたかと思うと、なかなか感無量です。大国との戦いのかけひき、情報戦とか、ホント重要ですよね。