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百万ポンド紙幣

 

百万ポンド紙幣―マーク・トウェイン ショートセレクション (世界ショートセレクション)

百万ポンド紙幣―マーク・トウェイン ショートセレクション (世界ショートセレクション)

 

 1800年代半ばに書かれたのが信じられないくらいおもしろいし、星新一ファンの子にも薦められそう。特におすすめは「彼は生きているのか、それとも死んだのか?」「実話一言一句、聞いたとおりに再現したもの」「百万ポンド紙幣」。『彼は・・・』は、死ぬと画家が認められるのを皮肉り、ミレーを死んだことにして売り出して成功する話。『実話・・・』はいつも明るい黒人女性が、語った壮絶な奴隷としての語りをきく。それを明るく語ってのける女性のパワーが魅力。『百万ポンド』は、突然百万ポンドを渡された男がどうなるかという賭けの対象になったまじめなアメリカ男の運命! 『天国だったか? 地獄だったか?」のようにピューリタンを皮肉っているものは、ここまでくると今の日本の子にはややわかりにくいかもと思うが、アメリカの若い時代に現れた野生児マーク・トウェインのパワーが炸裂した短編集でお薦め。