児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ペーパータウン

 

ペーパータウン (STAMP BOOKS)

ペーパータウン (STAMP BOOKS)

 

パターンは同じ著者よの『アラスカを追いかけて』に似ている。主人公は、ちょっと内気だがまじめで優秀な男の子Qことクエンティン。隣の家に住む幼馴染のマーゴは、発想がユニークで魅力的、Qのあこがれの女の子だ。高校の卒業式も間近。マーゴが浮気された彼氏に復讐するために付き合えと、突然夜中に呼び出される。女の子の家での浮気現場を彼女の親に電話し、元彼や彼女の家にナマズの切り身を放り込む仕掛けのあと、街を見下ろす塔で上から見るとまるでペーパータウン、紙でできた作り物の街のようだという。その後、シーワールドに侵入し、Qにとっては夢のような時を過ごす。だが、翌日、マーゴは失踪してしまった。たびだび家出をするマーゴに親はキレ。警察ももう18歳では自立できるといって捜査らしい捜査をしてくれない。Qは、ひょっとしてマーゴは自殺したのではないかと不安にかられ、懸命に探そうとする。友人のベンとレイダーの助けを借り、開発の途中で中止になった書類上の街(ペーパータウン)、さらに地図会社が著作権を守りチェックするために忍び込ませた架空の街(ペーパータウン)の存在を見つけていくところは推理小説のようで、なるほどエドガー賞受賞作。ついにマーゴの痕跡をみつけ、予告された制限時間に間に合うように、卒業式をすっぽかし、ベン、レイダーに加え、マーゴの親友レイシーも加わり自動車を飛ばしてペーパータウンに向かう。自分が思い描いていたのとは異なる素顔のマーゴを思うQ。ついに出会い、大学に行こうと説得するが、マーゴはもう帰らない。でも、つい考えちゃった。マーゴは家をなくして、これからどうする? 若くてセクシーな女の子は稼ぐ道は多いだろうけど、何をやろうというの? 親に買ってもらった車に乗っておこずかいの貯金を持って逃げ出すのが自立かい? こういう感想は親目線かもしれないがマーゴが自滅しないことを祈ります。