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ほとばしる夏

 

ほとばしる夏 (世界傑作童話シリーズ)

ほとばしる夏 (世界傑作童話シリーズ)

 

 おじいちゃんが死に、父さんも家をでていってしまった。母さんは耐えられなくて私と弟をつれて引越しをした。都会の家は息がつまりそう。母さんの友だちが貸してくれた郊外の家で、夏休みを過ごせるようになったが、そこで私たちは森林管理官だというおじいさんに会う。いきなり鉄砲を向けてきたおじいさんに反発するが、まもなく年寄りで身の回りもおぼつかないようすに気付き、食べものを差し入れるようになる。弟にカヌーを教えてくれるが、誇り高く、愛想のいい顔は見せない老人。もう一度家族が一緒になることを夢見ていたのに、父さんは夢を追ってローマに行ってしまった。そして、進学の夢が断たれた母さんの過去を知る。世界が、それまで自分が思っていたものとは違うことを知る夏の経験が魅力的だが、訳にどこか違和感がある。訳で、もう少し変わるのでは?