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ぐるぐるの図書室

 

ぐるぐるの図書室 (文学の扉)

ぐるぐるの図書室 (文学の扉)

 

人気のある著者による連作短編。不思議な貼り紙に誘われて学校の図書室に行き、もう一つの世界を体験する。『時のラビリンス』工藤純子は、渡せなかったプレゼントを渡そうとして何回も同じ日にチャレンジすることになる女の子の物語。こういう話は、ラストが肝心だけどいい感じで決着。『妖怪食堂は大繁盛』廣嶋玲子は、明るいドタバタ劇。『秘境ループ』濱野京子は好きな女の子と秘境の世界に閉じ込められ、戻ってくるためにはすべてを(彼女への思いも)忘れなければならなくなる男の子がちょっと切ない! 『九月のサルは夢をみた』菅野雪虫は、斜に構えた主人公がちょっと素直に、『やり残しは本の中に』は、いい加減に本を読んだことが原因で、メロスみたいな世界に入っちゃった! という話。いずれも手堅くまとめてある。巻末に、作者たちの子どものころの読書体験があるのは、本好きな子にはうれしいかも。