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本好きの下剋上 第一部兵士の娘Ⅰ

 

 本大好きで常に本を読んでいる麗乃は、無事に大学図書館への就職内定もでて、一生本に囲まれて暮らせるとホクホクしていた。ところがそんな時、自宅の書庫でで地震に襲われ、命の危険を感じるが気づいたら幼い子どもの体の中に入っていた。まるで中世のような世界で、自分は虚弱なマインという5歳の女の子となっている。その世界には、なんと本はない! いやないことはないが一部貴族の貴重品で庶民の手には届かない。マインは、なんとか本を手に入れるべく動き出す。衛生的な暮らしでなんとか虚弱さを直そうとしつつ、大学卒の学力を活かし、帳簿チェックの仕事の手伝いと引き換えに父の同僚城門の警備兵オットーよりこの世界の文字を習い始める。かたや、パピルス紙や粘土板、竹簡などの製作を試みるが、ことごとく失敗。幼く虚弱な体もうらめしい、だが、オットーより他力を使うことを示唆されて、幼馴染のルッツの力を借りて、チャレンジを決意する。というのがここまで。サバイバルものとしてなかなか楽しい展開だが、かごを編んだりしてるなら、そこからもう一歩で紙もどきに展開できないか? と思ったりする。本を好きな思いも、ここまで執着するならもうちょっと描いてほしいが、ひょっとしてこれは、本しか目に入らない女の子が、本のない世界で、現実社会に順応する話か? と思い始めた。