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クロティの秘密の日記

 

クロティの秘密の日記 (くもんの海外児童文学)

クロティの秘密の日記 (くもんの海外児童文学)

 

 1859年、アメリカ南部ヴァージニア州。クロティは黒人の奴隷少女だが、ご主人の息子が勉強するときにうちわで風を送る仕事を言いつけられたことを利用して文字を学ぶ。だが、奴隷が文字を学ぶことは許されない。誰にも知られてはいけない秘密だ。母親は、別の家に売られたのちに死んでしまい、台所奴隷のティーおばあちゃんが親代わりだ。お互いに好意を持っても自由に結婚もできない、逆に奴隷を増やす目的で、ご主人の命令で結婚させられる、美しい奴隷はご主人にいつレイプされるかわからないが、奴隷から生まれた子どもは奴隷でしかない、どんなに色が白くても。クロティは字が読めることを活かし、ご主人の新聞を読んで、奴隷制度に反対する人々の存在を知っていく。あくまでも悟られないようにしながら、奴隷を逃がす地下鉄道の役割を果たすようになる。自分が逃げられるチャンスがきた時、逃げずに地下鉄道の役割を果たすためにとどまろうと決意する。クロティ自信は実在の人物ではないが、奴隷制はほんの少し前まであった歴史的な事実であるだけにおそろしい。