児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

河童のユウタの冒険下

 

 人間と暴力で争おうとした猿の悪だくみを破って、本来のルートに戻った3人を人間が追い回す。3人は、兄妹の子ども達や、山の中腹のお年寄り夫婦(明らかに瀬田貞二氏!)に助けられるが、不思議なゆらゆら人間に脅かされる。偶然逃げ込んだ洞窟でユウタの父が閉じ込められていたのを救出し、その過程でハヤテとアカネは力に目覚める。(このあとネタバレ)水源に向かった一行の前に立ちはだかるゆらゆら人間の正体がネットを覗いていた人たちの目、というのはいい表現とは思ったが、結局、3人は影(不遇の中で死んだ動物たち)を本来の仲間に送るために魔法を使い、ユウタはアカリというカッパと出会い、母が生きていることも知る。無事にまとまって大円団だが、やはりどこか全体がぎこちない。前回のユウタの父たちの旅は合流できなかったようだが、それは何をもたらしたのか? 影の解放が目的なら、影が登場した時からもうちょっとその方向にいってもよかったのでは? 目的を達したところに動物たちが祝福で集まって、またもやガンバが登場したり、なんていうか、楽屋を知っている人の、同人誌のノリをやっぱり感じてしまう。河童の存在をリアルに若手の作家さんに書いて欲しいものです。