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14f症候群

 

14f症候群

14f症候群

 

 中学2年、14歳のグループの女の子たちそれぞれのちょっと不思議な体験談。ちほは、竹田という彼氏ができたばっかりだというのに、急に男になってしまう。この先どうすべきかと思いつつもだれにも打ち明けられない。新しい目で周りを見るようになり、ついに竹田にうちあける。いったんは別れをきめたのに、ちほだからちほが好きだと竹田は言ってくれ、9日後、女性に戻った自分をみつける「性」。あこがれの同級生をひそかに見守っている大学生一は、なんと彼女の14歳の妹咲に、ストーカー行為を見つかってしまう。咲はヴァージンを捨てたいので協力しろと迫ってくるが、大学生としてそんな犯罪行為はできない。ところが咲は急に大人になってしまい一のもとにころがりこんでくるという「欲情」。突然犬になってしまった志乃は家を追い出され、以前「キモイ」とバカいした男に救われる。男は実は当時街を騒がせていた連続殺人の犯人だが、犬にはやさしく、犬として夢中で懐いてしまう。だが、ある日出ていった男はなかなかかえってこない。飢えで限界に達した時、突然人間にもどる。夢中でそこらにあるものを食べているときに警察と共に男が・・・という「従順」。奇妙な依存関係の二人が入れ替わる「独占」、そして突然手首に不思議な顔が出現してその顔と仲良くなる「死命」。いずれも9日間限定で不思議な体験をする物語。強気でふてぶてしい14歳というイメージ造形は、14歳が読んで共感するか? それとも、ちょっと過ぎた年齢で「こんな感じだったわよね」とあるあるふりかえり面白がる視点か? なかなか面白くよませる。