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園芸少年

 

園芸少年

園芸少年

 

 そこそこの進学校に入り、ゆるい高校生活をおくる予定だった篠崎達也は、たまたま昼休みに入った温室で、眉毛がなく腰パンという不良っぽい大和田一平と出会う。余った氷を鉢に捨てたら水をもらって葉っぱが元気になったのに気をよくし、見かけによらず人がいい一平と遊び半分に水やりを始めた。そして、運動部に無理やり入れられそうになったのをのがれるため、正式に園芸部に入ることになる。とはいえ二人だけだが。ある日、温室にダンボール箱をかぶった変なやつがいた。顔にコンプレックスがあって、箱を被らないと外に出られなくなり、保健室登校を続けている庄司という同学年だった。彼の存在を隠すことを条件に水やりに巻き込むが、庄司は優秀で、園芸のことをきちんと調べて世話をはじめた。いつのまにかつられて園芸にはまっていく達也。中学校の時はワルで、当時の仲間に裏切り者扱いをされて狙われる一平、庄司のいじめられた過去。そして達也も、父子家庭という環境の中で普通にくらしているのだ。ちょっとした迷いの中で、花を育てながら成長していく男の子たちの物語で、気持ちよく読める。