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ぼく、カギをのんじゃった!

 

ぼく、カギをのんじゃった!―もう、ジョーイったら!〈1〉 (もう、ジョーイったら! 1)

ぼく、カギをのんじゃった!―もう、ジョーイったら!〈1〉 (もう、ジョーイったら! 1)

 

 ぼくことジョーイ・ピクザーは小学校4年生。クラスの子たちからカゲキと呼ばれている。落ち着いて座ることができず、考えるより先に体が動いちゃう。結果を考えずにやりたくなったことをやってしまう。そのせいでカギものんじゃった! ひものついたカギを飲んで引っ張り上げたら面白いと思ったら、もうやっていた。ハイになったら止まらない。おばあちゃんと二人暮らしだけど、おばあちゃんもパパも同じ性格で、これはピクザー家の家系だって。家の中はぐちゃぐちゃで、おばあちゃんは、ぼくを怒鳴りだしたらやめられなくなる。ある日、ママが帰ってきてやっと家の中はきれいになった。おばあちゃんは出て行っちゃったけど、ぼくも病院に行って薬をもらうようになったら前より座っていられるようになった。でも、油断は禁物。薬はダメな日もある。とうとうハサミでクラスの女の子を怪我させて<特別支援センター>に送られることになっちゃった。ぼく、どうなるんだろう・・・・。
ジョーイの行動は注意欠陥多動性障害ADHD)と思われるが、実際身近にいたらたまらないこんな子が主人公で、しかも自分の内面を語るというのは例がないと思う。イイ子になりたいのに、嵐にさらわれるように、トラブルに巻き込まれてしまう辛さ。そして、褒められた時のうれしさ。誰だって、自分で自分をコントロールできないことがある。ジョーイのように極端でなくても、思い当たる節があって共感できる主人公だと思う。ちなみに、『あくたれラルフ』もこの著者。あの、暴走的なラルフのあくたれは、ちょっとジョーイとも共通点があるかも。