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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

キムジナーkids 

 

キジムナーkids

キジムナーkids

 

 戦争が終わった、ボクは疎開していた熊本から沖縄に帰ってきたが、沖縄はズタズタになっていた。そこで出会い友だちになった仲間たち。ハブ捕り名人の孫で、ハブの音さえ聞ける耳を持つハブジロー、屁ばっかりたれている片手の先はないがさかだちがうまいポーポー、ヤギの鳴きまねだけでことばをしゃべらないベーグァ、なぜかぜいたく品を手に入れて惜しげもなく分けてくれるサンデー。キムジナーがいるといわれている神聖なガジュマルに秘密基地をつくり、常に腹を空かせてあらゆる方法で食べ物を手に入れることを考え、遊びまわる子どもたち。ゴミ捨て場に捨てられる強姦の末に殺された女の死体、集団自決した村の過去、骨をひろい続けるしかない男、沖縄方言が躍る文章に、凄惨な沖縄戦の陰を語りつつ、作者自身の体験が反映した当事者感覚が、同情を寄せ付けない明るい強さになっている。戦争につぶされなかった子どもたちのパワーがまぶしい。