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千年の田んぼ 国境の島に、古代の謎を追いかけて(2018 課題図書 中学生)

 

 山口県に属する日本海に浮かぶ見島、水の確保が難しい離島にありながら多くの田んぼが作られてきた歴史をたどっていくノンフィクション。ただ、読み始めの冒頭1300年前の田んぼという言葉が出たのに、すぐため池の問題にシフトしていき、中盤ごろになって1300年前からの田んぼの意味がわかる。タイトルでも「古代」と明かしているのでネタバレなのに、田んぼの干拓は江戸時代か?とか途中出てきても、あれ、最初に古代とかいってたじゃないのと、ちょっと読み迷った。著者自身が、調べ始めはそんな古い田んぼとは思わずに調査していてたどりつくので、素直にそこを追いながら読みたい気がした。国境の島としての他国との接点(現在も自衛隊がいる)、高齢化による田んぼの耕作放棄、ため池の水のくみ上げ方の外国との関係まで、けっこういろいろなものが詰まっているので、感想文を書くなら、そのどれかにシフトして、自分のまちの歴史とかと絡めてレポート風にまとめるのもアリかもしれない。