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クニマスは生きていた!(2018 課題図書 小学校高学年)

 

クニマスは生きていた!

クニマスは生きていた!

 

 絶滅していたと思われた魚が生きていた! 話題となったクニマスが、そもそもなぜ絶滅したのか、どうして生きていたのかを、田沢湖で代々クニマス漁をしていた久兵衛さんの姿を通して描いたノンフシクション。美しい水をたたえた田沢湖が、戦争に向かう国策の電力需要のダムづくりのため、毒水と言われた強い酸性の噴出泉を含む玉川の水を引き込んで水量を増やしたことから、一挙に死の湖になりクニマスが絶滅してしまう過程は、現在も繰り返される開発と言う名の自然破壊を連想させる。この辺を使うと感想文は書きやすいかもしれません。また、クニマスが生きていると信じて探し続けた久兵衛さんの思いも感想文ネタとしては使いやすいでしょう。ちなみに、クニマスというとさかなくんの名前が連想されますが、この本では全く出てきませんでした。さかなくん自身がクニマスであることを立証したわけではないから?などと思ったりしたのですが、実はさかなくんは特に重要なことをしていないならそうと、逆にあとがきとかでも書いておいても良かったかも。私は、昔の報道でさかなくんの名前があったのは勘違い?と思って、思わず調べちゃいました。