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ぼくとベルさん(2018 課題図書 小学校高学年)

 

ぼくとベルさん 友だちは発明王 (わたしたちの本棚)

ぼくとベルさん 友だちは発明王 (わたしたちの本棚)

 

 エディは、きちんと考える力があるのにどうしても書くことと読むことを覚えられない。まわりのみんなは、そんなエディの知能が低いのだと思ってバカにした。だがある日、エディの住む街に有名な発明家のベルさんがやってきた。偶然出会ったベルさんは、エディの思考力を認めて励ましてくれた。エディは数学が得意で、文字は読めないが、図が入った数学の本を参考にして滑車を組み立て、父さんが動かすのをあきらめた巨大な石を動かし、ようやく父さんに認めてもらうことができた。ベルさんの紹介でヘレン・ケラーと出会い、彼女に励まされ、工夫して少しづつでも文字を覚える努力を続けるエディは、父さんが倒木の下敷きになった時も独力で滑車を使って救い出す活躍をして自信をつける。自分はなぜ文字が読めないのだ、と苦しむエディを、失敗の数なら自分だって負けないと語り、対等な人間として励ますベルさんの姿はとても魅力的。こういう大人が身近にいると救われますね。明るい面をみようというメッセージは感想文を書くにも向いていそうだが、それだけにありきたりのお題目的な感想文に終わるかも。でも、この物語には、それにプラスアルファがあると思います。