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最後のオオカミ(2018 課題図書 小学校中学年)

 

 

 

 背景にあるイギリスの名誉革命から始まる18世紀の政争が日本にはなじみがないので、文字は大きく短いが、高学年位からだろう。タイトルは「最後のオオカミ」と気をそそるが、内容は最後のオオカミを心の支えにして故郷を去り、アメリカに渡る少年ロビーの物語、現在生きている老人がルーツ探しをする過程で見つけるという形式になっている。飢えて盗みを働く辛さや、助けられた幸せ、戦場で大切な養父を失うなど、いずれも大変な経験だと思うが、これらが年表みたいで、あまりリアルな感じがなく説明的に語られるのが正直物足りない。でも、ゲームの展開みたいで、今どきだと子どもには読みやすいのか? 感想文を書くならロビーへの同情、オオカミのチャーリーとの友情、はたまた自分もルーツ探しをしたくなったなどとまとめるのか? モーパーゴ作品は、書きやすいといえば書きやすいのかもしれない。