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シロクマたちのダンス

 

シロクマたちのダンス

シロクマたちのダンス

 

 母親が他の男性の子どもを妊娠し、大好きな父親(シロクマみたいで、プレスリーが大好き)と離れて暮らすことになったラッセ。学校の成績が悪くいたずら好きのラッセに対し、歯医者をしている義父は勉強を仕込み、服装や髪型も変えてイケてる見た目にし、ラッセ自身もそうなろうとしてみるが、最後はやっぱり実の父親と暮らすことを選ぶ。その決意を示すセリフ「ぼくは、ぼく以外のだれにもなれない」「そして自分がだれなのかは自分で見つけなければいけない」が、冴えなくてゆるい雰囲気で進んできたところへ、急に胸に刺さる。
作者ウルフ・スタルクの自伝的作品で、実際は実の父親が歯医者で教育に厳しく、スタルクは勉強が大嫌いで問題児だった。