児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

かにじょうまんの星

 

かにじょうまんの星 (子どもとよむ日本の昔ばなし)

かにじょうまんの星 (子どもとよむ日本の昔ばなし)

 

 絵から沖縄の昔話であることが推察される。昔、懸命に働いても貧乏な夫婦がいた。どうしたら貧乏から抜け出せるのか、金持ちに聞いてみようと言って、立派なお屋敷を訪ねると、そこの金持ちは星がいっぱいの部屋を見せてくれ、人はみんな生まれた時に星を授かるのだが、お前たちの星はホタルより小さい星だから貧しいのだと教えてくれた。ひときわ大きい星があったので誰の星かと聞いてみると、「かにじょうまんの星」だという。これから20年後に生まれると聞いた夫婦は、その子が生まれるまでその子の福を貸してもらいたいと頼むと、その子に返すことを条件にその人は貸してくれるといった。実は神様だったのだ、夫婦は大金持ちになったが、20年後門のところで物乞いの女が男の子を産んだと聞かされる。夫婦が飛んでいって何といういう名にしたかとたずねると、鉄の立派な門にあやかって鉄門(かにじょう)まんとした、という。夫婦はすぐさま親子を招き入れ、恐縮する女に昔の話をして親子を大切にし、家はますます栄えた、というお話。欲を出して、せっかくの福を返さないという展開になる? と心配したが、みんなが幸せになる終わりで、とても良かった。