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14歳からわかる生活保護

 

14歳からわかる生活保護 (14歳の世渡り術)

14歳からわかる生活保護 (14歳の世渡り術)

 

 生活保護というと、不正だったりずるいようなイメージがあるのは事実ではないだろうか? 私自身がそうだった。ところがいきなり「この国で、最低限しなない方法」なのに正確な情報をどこも教えてくれない、と言われ、思わず「確かに!」とうなずいた。水際作戦によって申請すらできないようにされていること、申請すれば行政は審査しなくてはいけないこと(もちろんその結果支給しないこともある)、年金とか収入があればその分は引かれて不足分が支給されることや、実際はそのように受け取っている高齢者が多いこと。若くて受け取っているのは障がい者や病気の人が多いこと、また、他国の就労支援のきめ細やかさなど知らない情報が多かった。そういえば「ハリー・ポッター」著者は生活保護受けながら執筆したが、生活保護受けて執筆とかバッシングされたかも。さらに生活保護を受けている人が家族がいない、児童養護施設出身や親も生活保護と言われるとそりゃそうだろうな、と納得する。ほとんど同じ仕事をしていても正社員と派遣では給料の格差がものすごい現実を知っていると、お金を得られないということを自己責任とだけ言えるだろうかと思う。生活保護を受けている人間を甘やかすな、と言われるとしても精神疾患のためにコントロールを失ってうまく働けない人を突き放すよりは、根気よくサポーとして働けるようにしていくというのは、確かに現実的。だけど、余裕がなくて、とりあえず目の前のことに疲弊しているとできない実態が恐ろしい。知識として、実際に中学生に読んで欲しい本。