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魔法使いのチョコレート・ケーキ

 

魔法使いのチョコレート・ケーキ (世界傑作童話シリーズ)

魔法使いのチョコレート・ケーキ (世界傑作童話シリーズ)

 

 

夢を見ているような不思議な雰囲気に包まれる短編が10話。
町の子どもたちに招待状を出し、チョコレートケーキを作って待つ魔法使い。リンゴの木の苗とお茶の時間を楽しみながら待つうちに時が流れ、森になったその場所へ、孫の世代の子どもたちが訪ねてくる表題作。
学校の帰り道、マイケルが「オレンジ色の犬がほしいな」と思っていると、大きなオレンジ色の葉っぱが風に舞いながらついてきた。家にも学校にもついてきて離れないのでこわくなったマイケルは、海辺の小屋に住むおじいさんに相談に行く。おじいさんは葉っぱをつかまえ箱に閉じこめる。でも、帰りかけたマイケルはちょっと寂しくなって、やっぱり葉っぱを返してもらうことに。いちど捨てたものは変わってしまうんだよとおじいさんが言って箱を開けると・・・(「葉っぱの魔法」)。
「葉っぱの魔法」のマイケルとおじいさんの関係は、私の中で理想です。こんなおじいちゃんが身近にいたら、こういう関係がつくれる社会だったら、子も親も生きやすいんじゃないかなあと思います。