児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

はずかしがりやのおつきさん

 

 まんまるお月さんが光をそそぐ野原に、馬車が1台止まっている。中にはギュリーちゃんといぬとねこが眠っており、外で馬のロシナンテが月明かりをたよりにおばあさんに手紙を書いていた。明るいので目を覚ましたギュリーちゃんといぬとねこが月をじっと見つめると、月は雲のかげにかくれてしまう。出てきてくれとロシナンテが呼びかけるが、月は恥ずかしがったまま。ロシナンテはギュリーちゃんたちをしかり、ギターを手にとり歌い始める。そのうちギュリーちゃんたちは心地よく眠ってしまい、月はまた輝き始める。手紙を書き終え眠りについたロシナンテの上で、月は一人おどり続けた。
独特な「青」の世界が強烈な印象を残す。子どもの頃は、馬のロシナンテがどなった時のギュリーちゃんのびっくり顔をこわく思いつつ、妙に好きだった1冊。小屋の窓からのぞいているギュリーちゃんたちが紙人形のように平板で、これは本当の話じゃないということか、夢の中だからなのかと、子どもながらに感じていたことを思い出す。