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数え方のえほん

 

数え方のえほん

数え方のえほん

 

 クマやウサギなどのかわいいキャラクターたちが、まずは子どもが興味を持ちやすい食べ物の数え方から紹介していく。が、ロールケーキは「一本」でも、切ったら「一切れ」(または一個)、同じジュースでも何に入っているかによって「一缶」「一パック」「一びん」と変化する・・・とさっそく日本語の助数詞の複雑さに気づかされる。動物や虫の「一匹」「一頭」「一羽」の使い分けでは、ヘラクレスオオカブトなど珍しく貴重なものは「一頭」と数えることもあるなど、その存在の格付け(とでもいおうか)でも違う。和の衣食住や年中行事に関する事物については、子どもになじみのないものが増え、伝えるのが難しいと感じる。でも、月明かりを「一条」、虹を「一橋」と数えられたら趣があって素敵だ。
また、一という意味ではなく使う「ひとやすみ」「ひとっぱしり」や、飲食店の店員が勢いよく言う「〇〇一丁!」などを紹介しているのも、おもしろい。
これほど様々な数え方がある言語は世界でも珍しいそうで、ページを埋め尽くすように紹介される数え方や測り方の単位を見れば納得だ。日本語文化の奥深さ、日本人の自然や事物を見る目の細やかさを、改めて実感する1冊である。