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赤ちゃんのはなし

 

赤ちゃんのはなし (福音館の科学シリーズ)

赤ちゃんのはなし (福音館の科学シリーズ)

 

受精卵から始まり、赤ちゃんが誕生して数週間後初めて笑うまでを、科学的な説明でつづり、かけがえのない大切な命というメッセージを伝える。出産時期に近づくあたりから、上のきょうだいの語り口調の文章になり、赤ちゃんが始めて笑ってくれたときの喜びが、最後の場面ではじける。
実物大の受精卵は、命の始まりの本当に小さいことが実感できる。その見えるか見えないかの絵に対しての説明文が長かったり、胎児が海面動物や節足動物に似ているなど難しい言葉に挿絵や説明がなかったりとで、文章による情報が多いので、大人が読み聞かせてあげたい。
根気よく時間をかけて読むことで、およそ40週にわたる重要でどれも欠かせない命の成長の過程を実感できる。
原書は1939年の刊行。エッツは、1933年のシカゴ博覧会で「さまざまな段階にある人間の胎児をスケッチし、母親たちや医療関係者(中略)、病院を訪ねたりして」製作したそうである(マーシャ・ブラウン著『庭園の中の三人 バートン、エッツ、ガアグをめぐって』東京子ども図書館 より)。