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ぼくがスカートをはく日

 

ぼくがスカートをはく日

ぼくがスカートをはく日

 

グレイソンは両親が早く亡くなったため、叔父夫婦の家でいとこと暮らしている12歳の男の子。叔父夫婦はよい養父母だが、自分の秘密は打ち明けられない。それは自分の心が女の子だということ。かわいい洋服を着てみたいけど、長めのTシャツを着てチェニックのつもりになるのが限界。クラスにもなじめず、一人で図書室でランチを食べる日々。転校生のアミリアと久々に友達になるが、女の子の友人ができると疎遠になってしまった。そんな時、学校の演劇発表会がある。中心になっているのはなにかとグレイソンを気にかけてくれているフィン先生。衝動的にオーディションに申し込んでしまうが、主人公の少女ペルセポネ役に立候補してしまう。自分の恐怖と孤独をペルセポネに重ねた名演が認められるが、それを知った叔母は、女の子の役をやったりしたらどんないじめにあうかわからないと気をもんで、それと決めたフィン先生に非難の矛先を向ける。年上のいとこジャックも、お前のせいでオレまでバカにされると怒りまくる。演劇仲間は彼を認めてくれたが、いじめっ子グループは執拗にからかい、暴力をふるい、せっかくの発表日についに手首を骨折する大けがをさせられてしまう。

スカートをはきたいということで、バカにされたり気持ち悪がられること自体が、ともかく問題。『パンツ・プロジェクト』のように、制服でスカートをはくのが耐えられない女の子の物語もあったけど、好きな服を着ただけでいじめられる社会はやっぱり異常。でも、私だって毎日のように「女子力ある~」とか「やはり委員長は男性に」とか言ってない?とわが身を振り返りたい。