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ひかり生まれるところ

 

ひかり生まれるところ (創作児童読物)

ひかり生まれるところ (創作児童読物)

 

 三雲神社で女性神職の権禰宜をしているという大卒5年目の奥山希美が主人公。ちょっと変わったお仕事紹介的な面もある。長女として生まれ、まじめな母親にきっちり育てられ優等生として成長した過去の姿と、現在の仕事のようすが交互に描かれ、徐々に希美が過去にトラブルをかかえていたことが明らかになる。神社のお仕事実態はよくわからないのだが、6人が奉職しているというのはかなり大神社だろう。よく神社に来るネパールからの留学生ネルーさんなどお茶目なキャラや、個性的な二人の後輩巫女、嫌味な上司の禰宜と彼がライバル視するもう一人の穏やかなイケ面禰宜、さらに神社を率いる70代になる穏やかな神官の個性も良く描かれているし、過去のまじめに小学校・中学校と進みながらふとイジメに手を貸す行為をしてしまうまでの様子もよく描かれているとは思うのだが、同時に希美が神社に出会って再生するのが秋なのだが、再生してこの後3月まで中学校に戻ったんだろうか? と気になった。高校は単位制高校に進んだとその前に描かれていたが、秋から次の春までどうしたんだろう? その前に中学の同級生に会うシーンがあるが、一年も(ひょっとしたらそれ以上)登校拒否してた同級生にあったんなら、その同級生も全くこだわりなく同窓会参加を勧めるかな? と思った。全体的に面白いのだが、主人公の描かれていない時間の姿ももう少し見えるとうれしい。