児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

あかちゃんはどこからきたの

 

 哺乳類や魚類・鳥類の卵子精子、交尾についてじっくり説明し、哺乳類としての人間の性交、受精、胎児の成長、出産、子育ての姿を示す。性交や出産の場面も絵にしているが、動物を入り口にしたせいか、なんとなくオブラートに包まれている感じがぬぐえない。最後に、人間が動物と違うのは、「やさしさや思いやり、たすけあうこころ」があり、子どもを「責任感」をもって育てることだという文章が、唐突に出てきて終わる。長年、小中高校生や教師を対象に性教育を実践してきた著者が、子どもに強く伝えたいことだというが、言葉だけ出しても伝わらない。授業では、著者の問いかけがあり、それに対して子どもが反応し考え、発言したり話し合ったりする時間があったうえで、責任感という言葉につながるのだろう。絵本としては科学的内容にかぎり、責任という言葉はない方がいいと思った。