児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ふたりママの家で

 

ふたりママの家で (PRIDE叢書)

ふたりママの家で (PRIDE叢書)

 

 女性同士のカップルの元に養子に来たわたしと弟のウィル、妹のミリー。血のつながりはないけれど愛情にあふれた5人家族の物語。
おじいちゃんおばあちゃんや近所の人たちと、料理をしたりパーティーをしたり。様々な違いを受け入れ、違うことは素晴らしいとママたちは教えてくれる。ただ1人だけ、ママが2人ということにいい顔をしない人がいて、ママは「あの人は怖がっているだけよ」「わからないものが怖いの」と、子どもに言って聞かせる。やがて子どもたちはそれぞれのパートナーを得て独立し、ママ2人も亡くなるが、ママたちの家に暮らすようになったウィル一家の元に家族が集まることで、ママたちを思い穏やかな気持ちになれる、というラスト。
初めに挿絵だけを見ていったとき、笑顔ばかりが描かれているので、そのはじけるエネルギーに食傷気味になったのだが。わたしをどうやって養子に迎えたかをママたちが話す冒頭の言葉・・・「暑く乾いた砂漠を歩いて、荒れた海を渡って、高い山を飛び越えて、嵐の中をずんずん歩いた」を読んだとき、同姓カップルが家族をつくることの困難さは、大げさでなく本当にそうにちがいないと思ったら、全編にあふれる笑顔に心から納得できた。