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赤い鳥の国へ

 

赤い鳥の国へ

赤い鳥の国へ

 

 みなしごになった小さな兄弟マティアスとアンナ。二人をひきとったお百姓のミーラさんの目的は、二人に牛の世話の仕事ををさせるためでした。ろくな食べ物ももらえずに来る日も来る日も働く二人の希望は、冬になったら学校に行けることでした。けれども、学校でも他の子どもたちにバカにされます。その学校帰りに、赤い鳥が二人を不思議な扉に導いてくれました。そこは真冬でも明るく、楽しく遊べてお母さんがおいしいものを食べさせてくれる不思議な場所でした。でも、牛の世話をするために帰らなければなりません。学校に行く最後の日、二人は赤い鳥の国に行き、家に帰る扉を閉ざします。マッチ売りの少女を連想させる最後は、大人の感覚では死でしか幸せに到達できなかった悲劇的な子どもたちの物語? だが、かわいそうな子どもたちの物語であると同時に、これは必死の抵抗の物語であるように感じました。ただ、子どもの目から見たら素直に不幸から幸せになって救われた物語であるかも、とも思いました。子どもたちは追い詰められても懸命に幸せを探しています。