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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

おしゃれ障害

 

 残念ながら私はメイク下手だが、その母親を反面教師にしたためか娘二人は中学生時代からメイク大好き娘に育ち、次女はこの本で危険を注意されているまつ毛エクステの仕事をしている(ちゃんと美容師資格を持ってやっているが)。そうした経験から、この本を当時の娘に見せてたとしても正直メイクをやめたとはとても思えないし、これを読んでメイクをやめるレベルの子ならそもそもやらないかもと思った。きちんと正しい知識が書いてあるとは思うが、そんなものは吹き飛ばすメイク関連コマーシャリズムの嵐のすさまじさは親でも制御不能だった。また、この本の最後に「おしゃれの力」として病気のために外見が変わってしまった子が、メイクで違いを目立たなくすることで気持ちが明るくなることが説明されておりメイク道具がずらりとならんだ写真やその前で危険を指摘したマニュキュアの写真がある。抵抗力がない病気の子がして大丈夫なら、やっぱり大丈夫と思うかも。ちなみに髪を染める危険も書いてあるが、高校によってはもともと茶色っぽい髪質の子を黒く染めるよう指導するケースが報道されているので、ぜひ、科学的根拠でそうした指導をやめさせるようにして欲しい。メイクにかりたてられてしまうのは、思春期の精神的な不安定さから、病気で外見が変わった子と同じような外面への不安を抱えていることもあるのではないか?「成長期の肌にはメイクはよくない」けど「どうしてもやりたいならメリハリをつけよう! 肌に安全なティーン向け化粧品の見分け方と使用頻度の目安」みたいに肯定することで抑制した方が現実的かも(多少は書いてあったが)。あと、イレズミが健康的にも良くないのはわかるが、文化としてやっている(ピアスもだが)外国の事例がある。こうしたケースを差別しないようにさせてあげたい。だが文化は難しい。安易な脱毛の危険がかいてあるけど中高生になって腋毛はやしてプールの授業受ける女の子はいないだろうね。さすがにそれは否定できないようで、脱毛はやっちゃいけないとまではかけないでいる。リスクは文化とのバランスかもしれない。だからティーンのころはすると注意される化粧が、社会人になるとしないと「社会人としてどうか」とマナー違反的に言われる二重規範の問題を無視してはつきつめられないのだろう。病気の子のメイクにしても、本当は外見が違うだけで仲間外れにしない寛容な雰囲気があればいいのかも。良心的な本だとは思いますが、この本だけではおしゃれ問題は解決しなさそうです。