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ぼくの町にくじらがきた

 

ぼくの町にくじらがきた (フォト・ストーリー)

ぼくの町にくじらがきた (フォト・ストーリー)

 

 真冬のある朝、浜辺に打ち上げられているくじらを見つけた少年ぼくが、くじらに心を寄せ見守った3日間の物語。アメリ東海岸マサチューセッツ州の町で、実際に起こったできごとを元にしてる。
少年の話を聞いて集まってきた大人たちは、ただ「ぼく」のくじらが死にかけていると話すだけだし、くじら研究の学者は、いい調査対象だとばかりに心音の検査を優先している。2日目の午後にようやく沿岸警備隊が、くじらの尾にロープを巻き満ち潮を待って沖へ引っ張り出すも、再び浜へ戻ってきてしまうくじら。海の動物は死を悟ると岸へ向かうという。そして3日目の夕暮れ、ぼくと「ふたりきり」になったくじらは、口を大きく3回開けて死ぬのだ。
モノクロ写真のくじらに迫力があり、47ページのすべてが静かに深く胸に迫ります。語り手のぼくは低学年くらいの印象で文章量も多くありませんが、高学年以上に味わってほしい1冊です。