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家を出る日のために

 

家を出る日のために (よりみちパン!セ 32)

家を出る日のために (よりみちパン!セ 32)

 

 新しい生活を始める人の多い時期です。タイトルを見て、ひとり暮らしのための術を伝授してくれるのかと思うと、そうではない。著者自身が体験した自立への切実な思いから始まり、戦後の日本社会が失った生活の知恵や暮らしの土台、家庭科では身につかない我が家の家事の仕方、それらを取り戻すために著者が主宰する家事塾の取り組みについてつづられる。つまり、自分が気持ちいい暮らしは自分で考え試しながらつくり上げていくんだよ、ということを伝えている。5時間目(第5章)の「家出テスト」は急に実践的な内容。親子で読んで一緒に考えたり話してみるきっかけにすると良さそうです。
個人的には、生活スキルの基本が載っている家庭科の教科書もおすすめしたいです。卒業するからときれいさっぱり捨てないで、ひとり暮らしを始めようというときのためにぜひとっておいてほしいです。自炊、洗濯、掃除、ボタンつけは小中学校の教科書に、住宅の間取り図の見方や家計のマネジメント、子どもの発達など子育ての知識は高校の教科書に。今の教科書はとっても使えますよ。