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わたしは倒れて血を流す

 

わたしは倒れて血を流す (STAMP BOOKS)

わたしは倒れて血を流す (STAMP BOOKS)

 

美術の時間、電動のこぎりの操作ミスで左手の親指の指先を切り落としてしまったマヤ。血は吹き出るし、動画を撮影する子はいるし、先生から自傷行為の疑いはかけられるし、なんだかグチャグチャな気分。おまけにその事故を連絡しても母親のリアクションがない。離婚して離れて暮らしている母親は、なんとなく普通の人とは違う。きっちりしていていつもよそよそしい。一緒に暮らしている父さんのパスワードを解読して、勝手にフェイスブックやメッセージをのぞいてる。美術高校の一年生だけど成績も大したことないし、反応がない母さんが気になる。そして母さんの家に行く週末。家には誰もいなかった。携帯は置きっぱなし、事件に巻き込まれたの? 成り行きで隣の家のパーティーに入り込み、男の子との出会いが! わかりやすく突っ張る裏で、母親にかまって欲しいマヤのうずまく気持ちがちょっと切ない。失踪した母親の謎と、新しい彼氏との恋の行方でヤキモキさせるが、親友のエンゾや美術と国語の先生のエール、そしてマヤを大切にしている父親の思いが彼女をしっかり支えているのを感じる。でも真っただ中にいるときに、この本読んだら、ちょっと痛いかも!