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たのしいムーミン一家

 

たのしいムーミン一家 (講談社 青い鳥文庫)

たのしいムーミン一家 (講談社 青い鳥文庫)

 

 春、冬眠から目覚めたムーミントールたちは、山に出かけてふしぎな黒いシルクハットを見つけて持ち帰る。それは実は魔法を使う飛行おにの帽子で、そうとは知らないムーミン谷の面々に様々な事件を引き起こす。
物語の魅力は、短い夏にしっとり生き生きと輝く自然の描写と個性豊かな登場人物たち。想像の生き物なのに人間くさくて親近感を感じます。要所要所で光る存在なのがムーミンママ。ムーミントロールが黒い帽子の魔法ですっかり姿が変わってしまってもその目を見て息子だと信じ元の姿に戻したり。暑さでイライラけんかばかりの息子たちを「ほら穴で4、5日のらくらしてきたら」という一言でぽーんと気分を替えてあげたり。最後は飛行おにの心まで、パンケーキとジャムのおいしさで和らげてしまうのです。