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イオマンテ

 

イオマンテ めぐるいのちの贈り物 (北の大地の物語)

イオマンテ めぐるいのちの贈り物 (北の大地の物語)

 

 ぼくはアイヌの男の子。雪が雨にかわったあくる日、父さんたちは山で立派な母熊を仕留めて子熊も1匹連れて帰った。赤ちゃん熊でも立派なキムンカムイ(山の神)。ぼくは子熊を妹のようにかわいがり、母さんも子熊に1番のごちそうを食べさせた。子熊はどんどん成長し力も強くなった。いよいよ母熊のいるカムイ(神)の国へ送る時が来て、熊の命をいただくためのイオマンテ(熊送り)の儀式が始まった。
最初に読んだときいくつか違和感を感じた。子熊のいる母熊を殺すのだろうかということと、子熊をアイヌの子と仲良く育てた後しばらく檻に閉じ込めること。それから挿絵の子熊が殺さなければならないほど大きくなったようには見えないこと。例えば「おおきくなりすぎたくま」(リンド・ワード作)では確かに脅威に感じる姿に描かれているが。
あとがきを読むとアイヌが子熊を育てることはあったそうで、異文化の暮らしや思想を理解するのは難しいなあと改めて思いました。