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ルソンバンの大奇術

 

ルソンバンの大奇術 (福音館創作童話シリーズ)

ルソンバンの大奇術 (福音館創作童話シリーズ)

 

 実は冒頭シーンでつまずいた。目玉焼きにやさしくキスするように黄身に口をつけ、ゆっくり中身を味わう、と書いてあるすぐ後に目玉焼きをキレイな三角形に切り分けるシーンが登場するのですが、この目玉焼きは黄身を吸い出された真ん中がへこんだ目玉焼き!? だとするとイマイチおいしそうではない感じなのですが・・・。物語全体に、ちょっとこういう混乱を感じた。最高のマジシャンだったルソンバンが、落ちぶれた毎日をおくっている描写から、過去の大失敗、そして再チャレンジの大成功、にもかかわらず去っていくという展開がオシャレといえばオシャレなのだろうけれど、具体的にイメージしていくとなんとなくつじつまが合わない感じがするのだ。友だちになったのら犬と男の子テレピン。そののら犬が捕まってしまった時に、心理テクニックを利用して巧みに救出するところはとてもテンポがよいが、その他はバラバラな感じで、連作短編としてそれ単独でも読めるように整理したならば、もう少しまとまった感じで読めたかもしれない。ひょっとするとこういうのが好きな子がいるかもしれませんが、個人的にはちょっと・・・でした。