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かえるの平家ものがたり

 

かえるの平家ものがたり (日本傑作絵本シリーズ)

かえるの平家ものがたり (日本傑作絵本シリーズ)

 

 夏の朝、源氏沼で遊ぶかえるの子どもたち。がまじいさんが琵琶を持ちべんべんべんとかき鳴らし、平家物語壇ノ浦合戦の段を語ってきかせる。
昔々、源氏沼の主はとのさまがえるの頼朝さま。ある夏の夜、あおがえるのおばあさんが何者かに襲われた。女武者巴がこたえるには、それは平家ねこの仕業だと。かえるの侍たちは頼朝がえるの命により鎧かぶとにやりを持ち、義仲大将に従って平家の森へと攻め入った。しかし平家ねこには、松葉の矢もたんぽぽのやりも、からたちの刀も全く葉が立たない。負け戦かと思いきや、かじかがえるの牛若丸がねこの前に飛び出して沼のふちへおびき寄せると、思わず飛びこんだ平家ねこはおぼれてしまい沼の底。平家ガニとなってしまったという。
夏の草花や、かえるたちが身につける装束が美しく描かれる。調子のよい語り口が楽しいので、ぜひ声に出して読んでほしい。       (H)