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俳句ガール

 

俳句ガール

俳句ガール

 

4年生のつむぎは、最近ちょっと憂鬱。おばあちゃんの具合が悪くて、お母さんがしょっちゅうおばあちゃんの所に行くせいで、頼まれる家事がどんどん増えている。中一のお姉ちゃんは、うまく逃げているのに! おばあちゃんが通っているディケアセンターに届けものに行ったつむぎは、すっかりぼんやりしてしまったおばあちゃんの姿にショックを受けるが、でも、おばあちゃんがそこで作った赤とんぼの俳句を褒められたことを知ってちょっとうれしくなる。そして、お手伝いばっかり言いつけられる家に帰りたくなくて、ふと不満を叩きつけるように自分も赤とんぼを入れた俳句を作ってみた。すると、驚いたことに、次の日、その俳句にならんで別の俳句が添えられていた。同じ赤とんぼの言葉が入ってるけれど、なんだか自分より上手だと思う。いったい誰が書いたの? 次の日も、次の日も俳句合戦が続くことになり、教室では誰がしているのかと大さわぎになる。そして、ついに知ったもう一人の書き手は、クラスでも浮いている男の子一生だった。おまけに、彼こそデイケアセンターの俳句の先生だとわかる。実は一生の父親は俳人で今入院中。一生は父の代わりにセンターに来るようになっていたのだ。思いがけない成り行きの中、先生の後押しでクラスで俳句大会をすることになるのだが、肝心の一生が、突然学校に来なくなった。いったい何が? お姉ちゃんにいいようにされているおとなしい妹の不満、おばあちゃんが変わってしまったことへの戸惑いなどが素直に描かれているが、お姉ちゃんについて最初は剣道で忙しいとあり、次には東大を目指しているから忙しいとある。両方なのかとも思うけど、ちょっと都合よく書き流された部分があるようなところが残念。