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ぼくのかわいいおさるちゃん

 

ぼくのかわいいおさるちゃん

ぼくのかわいいおさるちゃん

 

 南アフリカに住んでいる主人公「ぼく」の町では、みんながヒヒを嫌ったり怖がったりしていた。でもぼくは、偶然見かけたあかちゃんのヒヒに心を惹かれる。ところが、偶然ぼくの家の窓が開いていたせいで、ヒヒの一群が家に入り込んでしまい大騒ぎになる。ヒヒは家の中をひっかきまわし汚してしまい、近所のスティントンさんは銃まで持ちだした。でも、ぼくがエサで外へおびき出すことを考えたおかげでヒヒたちを外に誘導できた。ところが夜に自室にいったぼくは、あの赤ちゃんヒヒがベットで寝ていることに気がつき一晩大切に世話をしてやる。そして、次の日そっと迎えに来たかあさんヒヒに返してやるおはなし。動物好きの子どもにとっては、赤ちゃんヒヒと交流できるこの展開はとてもうれしい物語だろう。だが、客観的に見るとついバナナをあげてしまうこの「ぼく」のような行為はヒヒには良くない(人間の所でおいしいものを食べようとする)と思ってしまった。個人的にも長野県で人家のあるところで野生のサルがお店の食べ物を盗んでいくところをみたことがある。人間と動物の間の距離がなくなることはどちらにも不幸。ある意味では、大好きだから距離を置くことも知ってもらえればとも思った。