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ドラゴンのお医者さん ジーン・プルクター は虫類を愛した女性

 

ドラゴンのお医者さん ジョーン・プロクター は虫類を愛した女性 (世界をみちびいた知られざる女性たち (1))
 

 伝記絵本。1897年に生まれ、イギリスの自然史博物館、ロンドン動物園で爬虫類や両生類についての業績をあげるが持病のために34歳で亡くなった実在の女性を扱ったもの。だが、この年代情報は巻末の彼女の紹介文を読んで初めてわかる。本文だけを見ていると、爬虫類が大好きなユニークな女の子が、順調に博物館や動物園で仕事をして成功したように見える。だが、実際のところ抵抗はなかったんだろうか? ペットでワニを飼っていたというエピソードがあるが、それを許したのはどういう家庭環境だったのだろうか? 戦争という人材不足の幸運の中で就職できるが、学歴もない彼女が戦後も仕事を続けられたのはどういう背景があったのか? 等々、やはり食い足りないところが残ってしまう。せめて巻末解説に、もう少し詳しい情報が欲しい。また、「お医者さん」とあるが、獣医ではない気がする。原書タイトルでDOCTRとついているのは、博士の意味では?「ドラゴン博士」でもいいような気がした。背景を知らずに、単純に爬虫類好きで爬虫類のお仕事についた女性がいるんだ。私もなろう、位の受け止めもアリとは思うが。