児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

絵かきさんになりたいな

 

絵かきさんになりたいな

絵かきさんになりたいな

 

 トミーは、大きくなったら絵かきさんになりたいと思っていました。絵を描くことが何よりも好きで、布団の中でシーツに描いたり、新しい家の壁じゅうに描いたりするほどです。小学校に上がったら本物の絵の先生が来て教えてくれるのを楽しみにしていました。ところが担任の先生は、トミーが持っていった64色のクレヨンを見て顔をしかめました。8色しかない学校のクレヨンでなければだめだと言うのです。そして紙はたった1枚だけ、みんな同じものを描くというのです。トミーは、絵の先生に訴えました。「ぼく、大きくなったら絵かきさんになりたいの」。そして、本物の絵かきさんになりたいならまねをしてはだめと、絵の学校に通ういとこたちが言ったことも。すると絵の先生は、担任の先生に相談して言ってくれました。「みんなと同じ絵を描いてもまだ時間があったら、もう1枚好きな絵を描いてもいいわ」。トミーはにっこり。2枚目に、その絵の先生を描きました。そして年をとった今でも描き続けているのが、トミー・デ・パオラ自身なのです。トミーには、ほかにも両親やおじいちゃんおばあちゃんと、応援してくれる大人がいました。これを読んでもらう子どももきっと、自分の好きなことと重ねて大満足することでしょう。     (P)